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「Café Poulenc」演奏・ディスク評

❖モーストリー・クラシック(2006年2月号掲載記事)
「フランス大人組」を奏でて20年 着実な地歩で深化を続けるピア二スト

先日来日した管楽器のソリスト集団「レ・ヴァン・フランセ」がプログラムの一部を「フランス六人組」で固め、出世頭のプーランクの貴重な自作自演映像を収めたDVDが店頭に並ぶなど、ここ数年、「フランス六人組」に注目が集まっているようだ。「フランス六人組」は1920年代にプーランク、オネゲル、ミヨーらパリで出会った六人の若手作曲家の集まり。彼らはおのおのの作風を生かしながら、様々な芸術活動が活発だつた時代を反映した音楽を作り上げている。

そんな「フランス六人組」に20年にわたって取り組み続けているピアニスト神武夏子のコンサートが、12月1日に東京・内幸町ホールで行われた。彼女はフランス留学中に好きになった彼らの音楽紹介に努める傍ら、保育園や自宅近くの市民ホールで子供たちへのコンサートを積極的に開く優しいママの顔も持つ。

コンサートは六人組が崇拝したといわれるエリック・サティの作品から。彼が楽譜に自作の詩を付けたことでも知られる「スポーツと気晴らし」が、詩人の藤嘗保男による酒落っ気ある朗読付きで演奏された。続いてタイユフェールの「ロマンス」、オーリックの「アディユー ニューヨーク」、プーランクの「ナゼルの夜会」といった六人組の作品が丁寧に奏でられた。パティスリーで精巧に作られた小菓子がショーケースに並んだような華やかな雰囲気。

コンサートには神武のホームページを見て関心を持ち、足を運んだ人も多い。彼女は今後、佳曲の多い室内楽に取り組みたいとの意欲も見せる。時代の流れに応じた聴き手との出会いの中、「フランス六人組」の音楽は変わらずに馥郁とした香気で人々を魅了していく。

齋藤淳(フジテレビ報道局外信部)

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