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2004年の活動記録

❖2004年11月5日(金)
第6回神武夏子ピアノ・リサイタル「フランス6人組豊かな諧謔」
~サティとコクトーの美学を映し出した音楽家たち

1920年に批評家コレは、6人の作曲家(ミヨー、オネゲル、デュレ、タイユフェール、プーランク、オーリック)をロシアの5人組になぞらえ、「フランス6人組」と名づけた。6人とも、20代の若くエネルギッシュな作曲家で、友情は強かったが、共通の理念や美学はなかった。6人組は数年で自然消滅するが、彼達の友情は終生続き、各人に自分達の道を行き、魅力的で個性的な作品を多く残した。

共通の時代の香りは有る。6人を結びつけ宣伝をした詩人のコクトーは、一世代前のドビュッシーやラヴェルの高踏派的音楽に代わり、サティを受け継ぐ、単純で率直な音楽の理想を彼らに託した。電気や地下鉄等、文明が社会を変え、第1次世界大戦後の華やかな若者達のパリ、美術や文学でキュビズム、ダダイズム等、多くの運動が起こり、世界中の芸術家達を引きつけたパリの魅力が、様々なジャンルの友人達の輪の中にいた彼達の音楽の中にも、確実に聴きとれる。

音楽に、哲学や人生訓、自己告白や過剰な演技はいらない。色彩やリズム等、純粋な楽しみを求めるのはフランスの伝統だ。彼らは偉大(grand)ではないかもしれないが等身大の素敵な(charmeurse)音楽達でもある。

山口博史(作曲家)

❖2004年10月8日(金)
第1回 神武夏子ディナーコンサート「サティとフランス6人組の夕べ」
~エリック・サティとジャン・コクトーの美学を映し出した音楽家たち

1920年代、パリに生きた音楽家たちが描く“祝祭と狂乱の日々”をパリで学んで以来、フランス6人組に心酔するピアニスト、神武夏子が華麗な演奏とトークで再現します。

26年の伝統を誇る本格フレンチレストラン「ル・パピヨン・ド・パリ」ならではの通好みのディナーコンサート。

新しい試みである最高の料理と演奏のコラボレーションをどうぞお楽しみください。

当日の模様

プログラムノート

1. ダリウス・ミヨー(Darius Mihaud) 1892-1974「フラテリーニのタンゴ」

ジャン・コクトーの台本によるバレエ「屋根の上の牡牛」(1919)の最も有名な部分で、管弦楽でもよく演奏される。彼はブラジルに2年過ごしたがリオのカーニヴァルを念頭において作ったという。祝祭的で華麗な魅力にあふれている。

2. ルイ・デュレ(Louis Durey)1888-1979「バスク地方の10の歌より」

1968年出版「バスク地方の10の歌」は珍しい曲で、作曲年代は不明だが、内容の平明さから晩年(60年代)の作に想われる。バスク地方(スペイン国境に近い村)の既存の民謡に基づいていると思われるが、もっと皆に知られてよい、わかりやすく美しい小品集だ。

3. ジェルメンヌ・タイユフェール (Germaine Tailleferre)」1892-1983「シシリエンヌ」

「6人組」の紅一点タイユフェールはコクトーに「耳のローランサン」と呼ばれたが、彼女自身友人ドローネやピカソらの絵画にひかれ、絵筆を取ったこともある。1926年 に出会った最初の夫、ラルフバートンも画家で、この曲は彼にささげられている。骨太でいきいきした舞曲。

4. ジェルメンヌ・タイユフェール (Germaine Tailleferre)」1892-1983「ロマンス」

1924年 作。メンデルゾーンの無言歌風だが、優しい女性的な感性と細やかな和声のニュアンスが美しい。

5. ジョルジュ・オーリック(Jeorges Auric)」1899-1983「イマジネⅤ」

デュティーユにささげられたイマジネⅤはピアノソロ用で(Vn.と小アンサンブル用のⅥと同じく)1976年 の作品。たぶん、最後の作品群である。トリルを多用し点描風に音を散らしていく色彩的作品で77歳と思えない若々しさに溢れている。

6. フランシス・プーランク (Francis Poulenc)1899-1963「メランコリー」

戦時中の作品。1940年 ドイツ軍はフランスへ侵攻し6月パリを占領する。プーランクも1ヶ月ほど動員され、この曲は8月に完成された。音楽は戦争の悲惨さから切り離された作曲者の内面の静かな歌のようだ。

7. アルチュール・オネゲル(Arthur Honegger)1892-1955「ラヴェル讃」

「3つの小品」の2曲目で、1915年11月 作曲。モダルの美しい和声や線のからみがアルカイックなラヴェルへの讃歌のようだ。

8. ジョルジュ・オーリック(Jeorges Auric)」1899-1983「ムーランルージュ」(神武夏子編曲)

彼は、1930年 代から数多くの映画音楽を手がけた。「美女と野獣」(1945)、「オルフェ」(1947)、「ローマの休日」(1953)などが有名だが、映画「赤い風車」(1952)の中で使われたこの曲も彼の作だ。狂おしいまでの恋の曲である。

9. ダリウス・ミヨー(Darius Mihaud) 1892-1974「ブラジルの郷愁より イパネマ・コルコヴァード」

彼の2年間のブラジル滞在が生んだ名作で、帰国後の1920-21年の作品。タンゴのリズムを使っているが、旋律は彼の創作で、複調の魅力が生きている。各曲の題名は、リオ・デ・ジャネイロの地名である。「イパネマ(第5曲)」は華麗で重厚で官能的。「コルコヴァード(第7曲)」はしなやかな旋律が魅力だ。

10.フランシス・プーランク (Francis Poulenc)1899-1963「テーマバリエ テーマ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ・XI」

1951年 の作。テーマ(主題)とそれをもとにした11のバリエ(変奏曲)。まず、古風な主題がゆっくり奏される。変奏に入ると一転して華麗なピアノの効果が発揮され、主題の残映を追ういとまもない。どの変奏も短いながら完璧な彫琢によって生まれ、しかもその中にプーランクの歌心が息づいている。

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