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2008年の活動記録

❖2008年11月13日(木)
第14回神武夏子ピアノ・リサイタル「サティとフランス6人組 豊かな諧謔」


主催・問合せ:株式会社エクステンション/協賛:あざみ書房、ケ・ス・ク・セ/後援:東京日仏学院

魂が呼応する書とのコラボレーション
(稲木紫織/ジャーナリスト)

サティとフランス6人組の作品を専門に弾くピアニスト・神武夏子は、彼らのエスプリを踏襲し、他のジャンルの芸術とのコラボレーションを試みている。それは、1920年代の彼らの諧謔をそのまま模倣するのではなく、現代の私たちの遊び心を刺激するものでなければならない。安易なコラボレーションは陳腐なだけだろう。

第13回では、メダマンという大道芸との共演で"ピカソの秘密"に迫った彼女が、今回は書芸家・平野壮弦氏を迎え、即興的に描かれる書とのコラボレーションに挑む。

「壮弦さんの書を初めて見た時、サティだなと思った。うねっている線の上に飛んでいる点が魂に見えて、サティや6人組の音楽が持つシンプリシティと接点を感じました」と彼女が言えば、壮弦氏も、「私は、書は"ソウル・ドローイング(魂の線描)"であり、詩であり音楽だと思っています。神武さんの音楽と人柄に惹かれているので、共演してみたいと思いました。コラボレーションは、ただ一緒にやることではなく、"せめぎあい"だと思います」

企画先行でなく、二人の出会いの必然から生まれるコラボレーション。魂が呼応するせめぎあいが実現するか期待したい。

プログラム

エリック・サティ

  • グノシエンヌ ほか

フランシス・プーランク

  • ナゼルの夜会
    • 前奏曲
    • 変奏曲
      • 1:分別の極み
      • 2:手の上の心臓
      • 3:磊落と慎重と
      • 4:思案の続き
      • 5:口車の魅力
      • 6:自己満足
      • 7:不幸の味
      • 8:老いの警報
    • カデンツ
    • 終曲

ダリウス・ミヨー

  • フラテリーニのタンゴ

アルチュール・オネゲル

  • 組曲ポソル王の冒険より

ジェルメンヌ・タイユフェール

  • 即興曲

SOGEN(平野壮弦)氏プロフィール

1961年、新潟県十日町市生まれ。公立中学英語教師を経て、30歳で書芸家に転身。2002年、日韓ワールドカップ公式ポスター及び、公式エンブレム毛筆バージョンを制作。2005年、ソウル書芸ビエンナーレ、2006年、台北国際現代書芸展に招待出品。ニューヨークで個展を開催する他、「韓中日2007書芸デザインワークショップ」で招待講演、パフォーマンスを行うなど、書芸術を広めるため、世界的な活動を展開。

アメリカCNNテレビ、韓国国営放送などに、21世紀の書芸術を担うアジアを代表する書芸家として出演。書芸術を現代に活かすため、ロゴ書の揮毫、アートパフォーマンス、執筆、講演など幅広く活動。また、SOGEN書芸術による、着物や浴衣、Tシャツなども制作。自由な書芸術の表現を求めるSOGEN塾【書芸・SOGEN流】主宰。

http://www.hiranosogen.jp/

❖2008年5月22日(木)
第13回神武夏子ピアノ・リサイタル「サティとフランス6人組 豊かな諧謔」

主催・問合せ:株式会社エルパ、エクステンション/協賛:あざみ書房、ケ・ス・ク・セ/後援:東京日仏学院

新しい芸術の誕生って何てワクワクするんだろう
(稲木紫織/ジャーナリスト)

ピカソは、映画「ミステリアス・ピカソ」に出演しているが、オペラ座で振り付けるローラン・プティのバレエの幕絵を描き、ピカソが無名の頃、作家ガートルード・スタインは彼の絵を購入し、アリス・B・トクラスと暮らすフルール街の自邸に飾った。

スタイン邸には、マリー・ローランサンが、作曲家のグループ「フランス6人組」の兄貴的存在で、それこそクラシックな服を脱ぎ、現代のグランジやアンビエント・ミュージックを紡ぐ糸を織りはじめた作曲家、エリック・サティを連れて行き、サティに率いられてアート・サロン的なバー「屋根の上の牡牛」の常連になった若き6人組は、コクトーに連れられ、まだパリを征服する前のシャネル邸のパーティーへ。

周囲には、コクトーが愛した天才作家ラディゲ、セザンヌ、マティス、ブラックはじめキュビズムやダダの画家たち、ロシア・バレエのディアギレフ、ヘミングウェイ、そして20年代パリ社交界のミューズ、ミシア・セール……。

"祝祭と狂乱の日々"と呼ばれる1920年代を起点とする新しい芸術は、まるで"手術台の上のミシンとこうもり傘"ならぬ、人脈がすでにキラ星のコラボレーションのようで、彼らのスタイルはそのまま現代という時代に息づいている。

「フランス6人組」の作品を中心に演奏するピアニスト神武夏子は、別の芸術的要素を組ませたり演出したりするコラボレーションの余地、ゆとりのあるところが、サティと「フランス6人組」のおもしろさであり遊び心、と語る。6人組から漂う"豊かな諧謔"に含まれるペーソスの部分に限りなく人間っぽい魅力を感じると。

彼女の言葉から、フェリーニの映画「道」を思い出した。

サーカスや大道芸にも通じる生身の人間が演じる凄さ、生の感覚を大事にしたい! という神武夏子が、これから演奏にどんな新しい試みを展開するのか、耳も目も離せない。

プログラム

エリック・サティ

  • サラバンド第3番
  • 優しく

フランシス・プーランク

  • ナポリより
    • II ノクターン
    • III イタリア風奇想曲

ダリウス・ミヨー

  • スカラムーシュ
  • ブラジルの郷愁より
    • I ソロカーバ
    • V イパネマ(他)

アルチュール・オネゲル

  • アルベール・ルーセルを讃えて

ジョルジュ・オーリック

  • ピカソの秘密(大道芸人「メダマン」と共演)

ジェルメンヌ・タイユフェール

  • ロマンス

ルイ・デュレ

  • インヴェンションより9番

プロフィール

神武夏子(ピアニスト)

武蔵野音楽大学音楽学部ピアノ科卒業。フランス留学後、フランス6人組の作品を演奏するグループ「有終のオルフェたち」の一員として活動。その後、独立し、1999年、プーランク生誕100年祭記念コンサートを主催。リサイタルを中心に、ラジオ番組でも演奏するほか、詩人・藤富保男氏と「詩を奏でる」を各地で公演。子供のためのコンサートも定期的に開催している。

2002年、CD「cafe des six」、2006年、CD「カフェ・プーランク」を発表。2007年、NHK-FM「名曲リサイタル」に出演

滝上典彦(サクソフォーン奏者)

国立音楽大学、同大学院卒業。国立音楽大学オーケストラ定期演奏会、ムジカ・クオーレ・フルートアンサンブル定期演奏会にソリストで出演。国内のオーケストラ、サンクトペテルブルグ交響楽団、キーロフ歌劇場フィル(マリンスキー、ヤングフィル)、プラハ交響楽団、チェコ・フィル等の来日公演に出演。銀河管弦楽団のメンバー。

教則本「いますぐアルトサックス」を出版。銀河管弦楽団、オーケストラ、アンサンブル作品、ヒーリングミュージック、テレビ、映画のサウンドトラックでCD収録。国立音楽大学、同大学付属中学高等学校非常勤講師。

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