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2012年の活動記録

❖第17回神武夏子ピアノリサイタル「かむながらにII」

主催:ミモザ/後援:YAMAHA銀座店、アンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)
※お問い合わせ・チケット申込み:オンラインフォーム/03-3428-5794(FAX)

当日の模様

プログラム

第1部 フランス6人組

  • フランシス・プーランク「テーマ・バリエ」
  • ダリウス・ミヨー「ジャンヌの扇 ポルカ」
  • ジェルメンヌ・タイユフェール「2つの小品」
  • アルチュール・オネゲル「バッハの名によるプレリュード―アリオーソ―フゲット
  • ジョルジュ・オーリック「9つの小品より」
  • ルイ・デュレ「ノクターン 変ロ長調」

第2部 古事記

  1. はじめに現れた神
  2. 伊耶那岐神と伊耶那美神
    国生み 神生み 黄泉国 天照大御神の誕生
  3. 天照大御神と須佐之男命
    誓約 天の石屋戸

古典への帰向:「古事記」にむかう神武夏子

非常に個人的な思いから書くことをお許し願いたい。

三種の神器の一つには刀剣がある。天叢雲剣(あまの・むらくも・の・つるぎ)である。その出所は八岐の大蛇(やまた・の・おろち)が因であることは周知の通りである。

大蛇の首と言わず、胴といわず、ずたずたに切った速須佐之男の命(素盞鳴尊)、五本めの尾へくると、かちんという音がして、剣の刃がぽろりと少し欠けてしまう。不思議に思い、今度は剣の刃先で大蛇の尾を縦に切り裂くと、そこに雲のようなものが、すうっと立ち上がって、中から一振りの剣が出てきた。

これが天叢雲剣だというハナシ。蛇の体内に剣があったという誠に超現実的な一件である。神話だから、そういうモノだと幼児から思っていた。しかし平和を愛する日本で、蛇の体内から出た剣を代々の天皇が受け継ぐということは、何とも異様で物騒だと驚いたのである。

ハナシの因は「古事記」となる。超記憶術の持主の稗田阿礼(ひえだのあれ)がしゃべったのを大安萬侶(おほのやすまろ)が文字化したと伝えられている。奈良時代の前期ごろであった。それは天地初発の頃から黄泉(よみ)の国やら、天の石屋戸などのくだりを口述して出発している。わが国の古代文学と言ってもよいだろう。

 

ここで神武夏子の場合を考えねばいけない。彼女が長年にわたって「フランス六人組」の作曲家たちの曲目を演奏していることは改めて言うまでもない。この六人組の作曲家たちが敬慕していたのが、エリック・サティ(1866-1925)であった。そしてジャン・コクトー(1889-1963)は、まさに六人組にとって兄貴分であり、スポークスマンでもあった。神武夏子はサティも弾き、コクトーをよく読んでいる。コクトー作の戯曲「エッフェル塔の花嫁花婿」の折にも演奏出演している。

サティは片意地で奇癖の多い作曲家であったが、彼が晩年に代表作「ソクラテス」を作ったことは重要この上ない。ある会場でこれを聴いたが、壮麗でしかも荘厳な叙事曲であった。

コクトーといえば奔放なタッチで絵の才能のほか、評論、演劇は詩の分野と相俟って著名であるが、映画でも知られている「オルフェ」は人々に深い感銘を与えた。

二人ともギリシャの故事を現代に呼び込んだのである。

 

神武夏子は京都や奈良を愛してやまない芸術家である。彼女が京都、栂尾の高山寺の鳥獣戯画の絵巻の前で、じっと次の曲想を考えていたり、ひょっとすると、奈良の仏像の前で翡翠や瑪瑙、碧玉の輝きに似た〈もう一つの新しい光の音〉を思っていることだろう。彼女が今回、古事記に目を注いだのは、そこに何らかのリアリティを求めようとしている証左である。彼女のキーボードからどのような〈音〉がひびくか楽しみである。

奇しくも今年は「古事記」編纂1300年にあたる。

詩人 藤富保男

❖2012年6月6日(水)
第10回 詩を奏でる:北園克衛(きたぞの・かつえ)生誕110年

プログラム

  • 「模範的な動物たち」より フランシス・プーランク作曲
    神武夏子ピアノ演奏
  • 詩の表と裏と影と:北園 克衛についてのトーク
    藤富保男 他

<休憩>

  • 象のババール フランシス・プーランク作曲
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